雪月花

毎日考えている事や、自分の体験を僕や君という三人称(?)に、置き換え綴っていきます。
この頃、下手くそだけど写真を撮る楽しさにも、目覚めました。

父のテレカ

僕の手元に1枚のテレカがある



灯台を撮ったもので


突き出た半島の上に灯台があって


その下は海で、何かに驚いたのか


カモメが一斉に、飛び立っている写真だ



僕に出来、不出来はわからないけど


父の写真だ


僕の母は、嬉しかったのか


そのテレカを、何枚も買ったみたいだ




父は若い頃から、写真が好きだった


昔住んでいた社宅は、狭かったのに


暗幕を張って、暗室を作り


現像や引き伸ばしを、自分でやっていた


現像液の匂いだろうか


酸っぱいような匂いを、いまだに覚えている




父は僕が結婚して間もなく、ガンで亡くなった


唯一テレカにはなったけど


このまま父の写真は、消えるんだなと思った


今みたいにSNSに、簡単にアップできる


時代でも無かった



僕は葬式に間に合うように、父の写真を


大きく引き伸ばして、硬い台紙に


何枚も貼りつけた


それを、葬式の祭壇にズラッと並べた


母はそんな事してと嫌がったけど


参列した人は、こんな写真撮ってたの?と見てくれた



父さん、


父さん、最後の個展だね


お節介な息子でごめん




僕の前に、1枚のテレカがある


灯台を撮った写真だ

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